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| 新抗がん剤 |
化学療法の分野でも、まったく新しい考え方の抗がん剤が次々に登場しています。
ちょっと驚く人もいるでしょうが、実は現在の抗がん剤の一部は第一次世界大戦でドイツ軍が使用して以来これまでたびたび戦争で使われてきた「毒ガス」と同じような成分でできています。したがって抗がん剤はがん細胞も殺すものの、周囲の正常な細胞にも強いダメージを与え、そのため病状によっては使えないこともよくあります。この副作用を避けるためには、がん細胞だけに抗がん剤を作用させる方法が必要です。
1995年に福山大学医学部がはじめて実験に成功した新しい方法では、がん細胞に結びつきやすい特殊なたんぱく質に強力な抗がん剤を結合させます。こうすると抗がん剤はがん細胞だけにくっついて殺します。
また、がん細胞の異常な増殖力をストップさせるというのも、今考えられる新しい化学療法のひとつです。普通の健康な細胞には分裂回数に上限(50〜60回)があります。つまり、正常な細胞のもつ遺伝子には分裂回数の“回数券”のようなものがついており、これを使い切ると細胞は分裂能力を失うのです。しかしがん細胞は、回数券が減ると減った分を付け足すという特殊な酵素「テロメラ−ゼ」をもっており、永久に分裂を止めようとしません。
そこで、この酵素の働きを止めてしまえばがんは増殖できなくなり、死滅するはずです。
アメリカのジェロン社(バイオベンチャ−企業)は1995年、この酵素の作用をストップさせることでがん細胞を26〜29回の分裂のあとに死滅させることに成功しました。いまこの酵素実用化するため、各国でさかんに研究が進められています。
また1998年に別のアメリカのバイオベンチャー企業ジェネンテク社が開発した乳がん治療薬(ハーセプチン)も大変期待されるものです。これはいままでの薬品と違い、がん細胞の増殖を支配する遺伝子だけを狙って、その働きを阻止するものです。臨床試験では、がんが完全に消滅した人や、病巣が半分以下に縮小した人もあるといいます。
ほかにも、がんに酸素や栄養を供給する血管が作られるのを遮断してがんを餓死させる「血管新生阻害剤」の研究もさかんです。この薬はアメリカで開発され、末期がん患者に対する臨床試験では良好な成績を収めていると伝えられます。日本でも、鹿児島大学や大阪大学が同様の研究を進めています。
この方法はがんの種類を問わず有効とされています。しかしがん以外にも新しい血管を作る必要のある器官(子宮など)があるため、これらの健康な器官も薬によって傷つけられるという恐れがあります。
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